マンガ家アシスタント
千葉潤也さん

卒業生インタビュー

仙台市出身。ニチデのマンガ科を卒業後、自身の作品も描きつつ現在はマンガ家アシスタントとして様々な作品に携わっている。

写真:千葉潤也さん

「なんとなく描く」から卒業!プロに不可欠なスケジュール管理術

インタビュアーA:
「学校で学んだ中で、一番今の仕事に役立っているスキルは何ですか」という回答に対して、千葉さんは「締め切りを早めに設定すること」と答えてくれました。今、アシスタントは何個やってるんでしたっけ?
千葉さん:
今は4つです。
インタビュアーA:
すごい!
千葉さん:
でも1個がヘルプみたいな感じで、ある時とない時があります。でも、ほぼあるって感じですね。後でも書いてありましたけど、意識して休みを作っています。
インタビュアーA:
自分の漫画も描きたいもんね。アシスタントが目標じゃないし。
千葉さん:
そうですね。最初は調整とかしづらいかなと思っていたんですけど、先生によっては結構ずらしてくれたり減らしてくれたり、融通を利かせてくれるのでありがたいです。
インタビュアーA:
忙しい生活の中でも、やっぱり漫画家としてスケジュール管理がすごく大事だと今も感じているんですね。
千葉さん:
はい、そうです。
インタビュアーA:
高校生までの描き方と、専門学校に入ってからの描き方で変わりました?
千葉さん:
異なりましたね。専門学校では締め切りがちゃんと設定されていたので、それをまず守らなきゃっていうのがあって。守れないことも結構あったんですけど。
インタビュアーA:
そうだよね。
千葉さん:
はい。だから、それでスケジュール管理の大切さを学びました。高校では時間がたっぷりあったので、締め切りも特になく、自分で決めてやっていましたから。でもやっぱり高校の時も、「今月のやつに出そう」と思っても出せなくて来月になったり、締め切りを守れなかったことが結構あったんです。それを専門学校で守れるようになったんで。
インタビュアーA:
課題が多かったですからね。
千葉さん:
そうですね。授業の課題に加えて、進級課題で漫画を描くのもあったので。

憧れの雑誌に手が届く?在学中から始まる「編集者」との二人三脚

写真:千葉潤也さんインタビュー
インタビュアーA:
出張編集部は、学生の時に何回くらいやった記憶あります?
千葉さん:
10回いかないくらいですかね。
インタビュアーA:
ハイペースだね。出張編集部に出すのは学校で描いたやつでもいいの?
千葉さん:
過去作でも学校で描いたやつでも。アドバイスをもらって、どこかに書き溜めていました。
インタビュアーA:
一番感触が良かった編集部はどこでした?
千葉さん:
勉強になったのはヤングジャンプですね。
インタビュアーA:
今、一番縁が深い編集部はどこか別にある?
千葉さん:
今はヤングマガジンです。一番電話とかして、しょっちゅう打ち合わせしてもらっています。
インタビュアーA:
えー、すごい。前見せてくれたやつ?
千葉さん:
そうです。
インタビュアーA:
素人質問で恐縮なんだけど、いいなとなったら読み切り掲載の会議にかけられるの?
千葉さん:
パターンとしては読み切りをいきなり載せるのと、出版社独自の賞に向けて「〇〇賞目指そうとか、大賞を取ろう」とまずはそこを目指す形があります。僕は今、その賞を狙っているところです。
インタビュアーA:
賞に入れば賞金も出るし、掲載もされるしね。賞を取ってデビューというのが王道に近いんですね。

背景が苦手でも大丈夫!学校の授業が「仕事で使える武器」に変わる

インタビュアーA:
技術的なところで言うと、具体的にどういった力が伸びましたか?
千葉さん:
やっぱり単純に、絵は専門学校のおかげでちょっと上手くなったなと思います。
インタビュアーA:
千葉さんは、特にこれを描くのが苦手というモチーフはありました?
千葉さん:
背景が苦手でした。
インタビュアーA:
え、でも今めっちゃ背景やってない?
千葉さん:
学校で教えてもらったおかげですね。高校生の頃はめんどくさいと思って意識して描かなかったんですけど。
インタビュアーA:
そうだよね(笑)。
千葉さん:
月夜先生の授業とかで、背景が描けるようになりました。アシスタントは背景を描く仕事が結構多いですし、モブとかも。

「好き」なものが多いほど、漫画のネタは面白くなる

インタビュアーA:
「学生のうちにもっとやっておけばよかったと感じること」に対して、千葉さんは「自分の『好き』を見つけること」と答えています。編集部の人からも「趣味があったほうがいい、色んなものに興味を持ったほうがいい」と言われたそうで。それは今、描くことに対してしんどいと感じているから?
千葉さん:
今は全然しんどくないんですけど、専門学校の時は忙しくて、趣味の時間を作っていなかったなと。漫画一本でガチでやろうと気合が入っていたので。だから漫画以外の「好き」があまりなくて、「何を描けばいいのかな」「何が描きたいのかな」と悩むことがありました。漫画は好きだけど、じゃあ自分が描けるものは何だとなった時に、選択肢が狭かったんです。
インタビュアーA:
漫画は表現の手段の一つだからね。音楽とか映画とか伝えたい根底の何かが無いと手段も乗らない。
千葉さん:
言いたいことがちゃんとあったほうがいいです。
インタビュアーA:
今だと「ラブコメ」という話があったけど、それは描きたいものとしてずっとあった?
千葉さん:
そうですね。これは「想いを伝えるんだ」というのをテーマにしていて。告白せずに後悔するよりは、告白したほうがいいっていう。
インタビュアーA:
それは千葉さんの中に、そういう後悔があるわけではないですよね……?
千葉さん:
……一応あります(笑)。そういう経験をうまく落とし込めたらいいなと思っています。
インタビュアーA:
色んな経験をしておくに越したことはないね。

採用の鍵は「速さ」と「正確さ」。アシスタント採用を勝ち取った秘訣

写真:千葉潤也さんインタビュー
インタビュアーA:
「デビューまでに苦労したこと」で、千葉さんはアシスタントをやるために「GANMO(がんも)」というサービスを使うための作画資料作りが大変だったと。
千葉さん:
はい。どういうものを作れば採用されるのか全然わからなくて。自分で「アシスタントやりたい」という記事を作ってポートフォリオを貼るパターンと、漫画家さんの募集にメールを送るパターンがあります。
インタビュアーA:
それで実際声がかかったんだ。つながったんだ、すごい!資料作りに苦労したっていうのは、やっぱりその、自分が描きたいようなジャンルの漫画家さんに刺さるような資料を作るとか?
千葉さん:
資料作りで言うと、異世界の建物とか森の資料がよく求められます。
インタビュアーA:
中世ヨーロッパの城とか? そういうのを描くための資料集めとか大変だよね。
千葉さん:
学校を卒業してから作りました。「雇う側はスピードも見ている」とのことだったので、作画資料にかかった時間を書くんです。
インタビュアーA:
なるほど。得意・不得意な背景はある?
千葉さん:
料理を描くのは結構得意なんですけど、建物などの人工物はパースが気になるので時間がかかっちゃいます。

意外とホワイト?最新の漫画制作現場は「オンライン」が主流

インタビュアーA:
アシスタントをやってみて、悪い方のギャップではなく意外とホワイト寄りだというギャップを感じたそうですね。
千葉さん:
夜遅くまで大変というイメージがありましたけど、今は9時18時や11時20時など、普通の会社員と変わらない稼働時間です。
インタビュアーA:
生活できるくらいもらえている?
千葉さん:
時給は結構いいので、日数が入っていれば全然生きていけます。たまに「今月はお休みです」と言われて仕事がなくなることもありますけど。
インタビュアーA:
1年目に3回あったって書いてるね。
千葉さん:
作品が打ち切りになったり、自分の実力不足で次から呼ばれなくなったり。最近は継続して呼んでもらえています。
インタビュアーA:
評価されてるね。それってさ、フリーでいるうちは、今ある仕事が急になくなるって僕だったら絶望しちゃうかなって思うけど。千葉さんはそんなことなく、とりあえず「悩むよりたくさん行動すれば」ということで。
千葉さん:
そうですね、一人暮らししてたらマジで大変だと思いますけど。
インタビュアーA:
そっか。実家というのもひとつ安心感としてはあるのか。
インタビュアーB:
それって個人事業主としてやるの?
千葉さん:
個人事業主です。
インタビュアーB:
じゃあ確定申告だ。
千葉さん:
はい、今年初めてやるんですよ。領収書を準備しています。
インタビュアーB:
取材費として計上できるものも多いから、節税のやり方は色々あるよ。わからなかったら学校に来て(笑)。
千葉さん:
ありがとうございます。
インタビュアーA:
今はオンラインで仕事をしているんだよね。
千葉さん:
DiscordやDropboxを使っています。基本はチャットで、たまに電話もあります。
インタビュアーA:
今の時代、ネット上でどこでもできるのは強みだね。
千葉さん:
はい。
インタビュアーA:
初めて仕事を任された時は緊張しましたか?
千葉さん:
緊張しました。「迷惑をかけないように」って。
インタビュアーA:
今はどう?
千葉さん:
もう全然緊張はしてないです。最初にやらせてもらったのがニチデの卒業生の方(はみだしみやこ先生)だったので、そこは安心しました。
インタビュアーA:
今は顔も知らない先生のアシスタントもやってるわけだけど、漫画家ってコミュ力が必要だよね。
千葉さん:
必要ですね。相手も言葉が少ない人がいるので、こっちから聞く力もいります。
インタビュアーA:
チャットだと温度感がわからないこともあるしね。
千葉さん:
でもニコニコマークをつけてくれる先生もいるので、やりやすいです。

目標は 23歳で連載デビューへ

インタビュアーA:
デビューの目標は?
千葉さん:
連載は23歳までにはしたいです。あと2年。今は大きい雑誌で頑張っていますけど、23歳までにはどこでもいいから絶対連載したいと思っています。
インタビュアーA:
まずは実績というか自分の漫画を世に出したいと。

未来の自分をイメージして、「今しかできない経験」を全力で!

インタビュアーA:
高校生へのメッセージとして「具体的なイメージを持つこと」と書いてくれました。
千葉さん:
固く書いちゃいましたけど、漫画家に限らず、自分が何をしたいかによって選ぶ学校も決まってくると思います。
インタビュアーA:
いつかこの雑誌で連載したい、というのはある?
千葉さん:
今はヤングマガジンがいいなと思っています。一番勢いがあってかっこいいなと。かっこいいヤクザものとかもあるし、セクシーなやつもあるし、いいバランスで一番青年誌で勢いがあるなって思って。だらけた人間や居酒屋でのしょうもない会話を面白く描けるのは、そういう経験をしている作家だと思うので。
インタビュアーA:
またすごいね。
千葉さん:
だから自分もそういう経験をしたほうがいいと思っているし、高校生にも今しかできない経験をやってほしいです。帰り道の寄り道とか。
インタビュアーA:
千葉さんは映画もよく見るんでしょ?
千葉さん:
めっちゃ見ます。
インタビュアーA:
明日死ぬと言われたら一番何の映画が見たい?
千葉さん:
『ベイビー・ワルキューレ』ですね。日常会話とアクションが好きです。
インタビュアーA:
邦画が好きなんだ。
千葉さん:
生活感の違いというか、邦画のほうが共感しやすいです。
インタビュアーA:
そういう感覚って、人にものを伝える漫画家の仕事ですごく大事だと思うよね。
インタビュアーA:
高校生には色々な経験をして、将来像をイメージして学校選びを頑張ってほしいですね。千葉さんはこれからしてみたい経験はある?
千葉さん:
富士山に登りたいです。
インタビュアーB:
富士山は最高だよ。忘れられない経験になるよ。
千葉さん:
あとはスケボーをやりたいです。
インタビュアーA:
ありがとうございます。取材内容は以上です。
千葉さん:
ありがとうございました!

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